この記事はこのような疑問を解決します。
よく調剤薬局に行くと漢方薬をお湯で溶かして飲んでくださいと言われることが多いかと思います。それではなぜお湯で溶かして飲んだ方がいいのでしょうか?また全ての漢方薬をお湯で溶かして飲んでもかまわないのでしょうか?
こういった疑問を漢方を主に扱う調剤薬局で勤務する私が解説していきたいと思います。
漢方はお湯で溶かして飲んだ方がいいの?
基本的にはお湯で溶かして服用するのをおススメしています。
なぜならお湯に溶かすことで漢方薬本来の効果が発揮できるからです。
その理由を解説します
よく病院等で処方される漢方薬のエキス剤というのは、煎じ薬を作った際にできるエキスを濃縮して、添加物等を加えて生成したものです。顆粒や細粒状のものが多いです。
煎じ薬というのは、様々な生薬を混ぜて作ったものです。この煎じ薬は効果がエキス剤に比べると高いと言われています。しかし服用する手間がものすごくかかります。なぜなら煎じ薬は沸騰したお湯に煎じ薬(様々な生薬が混ざったもの)を入れ、毎日30分~40分間煎じる(煮だす)作業が必要なのです。この時でてきたエキスを服用することになるのですが、煎じたエキスは長期保存ができません。できればその日中または次の日くらいまでに服用する必要があるのです。
この手間がかからなくて、お水で手軽に飲むことができ、長期保存を可能にしたものがエキス製剤なのです。しかしこのエキス剤は元々の煎じ薬に比べると、効果が発揮しにくいというデメリットがあるのです。
そこで冒頭でお伝えしたお湯で溶かして服用する方法です。
エキス剤もお湯に溶かして服用することで、本来の煎じ薬に近い飲み方になるので効果や吸収が良くなるのです。
またエキス剤はお湯に溶かすことで、香りを嗅ぐことができます。漢方薬はその香りからも効果があると言われいます。気持ちを安らげてくれるような漢方薬では香りを嗅ぐことで気持ちが穏やかになり、胃の調子を整えてくれるような漢方薬では香りを嗅ぐ段階で消化管の運動を促進する効果があるのです。
さらに、漢方薬は西洋薬の薬と違い、体を温める薬があるというのもポイントです。体を温める漢方薬はお湯で溶かして飲むと体を温める作用が相乗効果となり、非常に効き目が良くなるのです。
以上の理由から漢方薬はお湯で溶かしての服用をおススメしています。
実際に私も漢方薬を飲むときは必ずお湯に溶かして飲んでいます。最初は味が苦手でなかなか飲みにくかったですが、慣れてくると逆に美味しく感じるようになりました(笑)
風邪をひいた時に葛根湯や麻黄湯等を飲むときにもお湯で溶かしています。発汗させることで治療していくような薬とは相性がよく、温めることでより汗をかきやすくなりますので、風邪を早く治すことができます。
冷え性を治してくれるような漢方薬もお湯で溶かして飲むのことは非常に効果が高いと思います。
どの漢方薬もお湯で溶かして服用していいの?
基本的にはお湯でOK。ただし例外もある。
基本的にはお湯に溶かして問題ないです。
しかし熱や炎症があり、これを冷やすことで治療する目的の漢方薬や吐き気がある場合は冷たいお水で服用した方がいいです。
漢方薬には温めるとは逆に冷やす効果がある漢方があります。冷やすことで炎症や熱をとってくれるので、お湯に溶かして飲むと逆効果になる場合があります。
冷やす漢方には黄連解毒湯等があります。
また吐き気の症状がある場合にも、注意が必要です。漢方薬をお湯で溶かすと香りを嗅いでしましますが、その香りによって吐き気が強くなる場合があるのです。特に漢方薬が苦手な方は吐き気が強くなりやすいでしょう。
吐き気の時に用いられる五苓散や小半夏加茯苓湯もお水でそのまま服用した方がいいでしょう。
実際に私も二日酔いの時に五苓散をいつもの癖で温めて飲んだことがありますが、その香りで余計に気持ちが悪くなった記憶があります。皆さんも十分に注意しましょう(笑)
まとめ
漢方薬は基本的にはお湯で溶かして飲んでいただいた方が、本来の煎じ薬としての効果が発揮しやすいようです。特に体を温めた方がいいような場合(風邪をひいて悪寒がする時や冷え性、血行不良による末梢神経の疼痛)には特におススメです。しかし上記で記述したようにかえって逆効果になる場合もあるので注意が必要です。
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